公正証書遺言以外の遺言は、家庭裁判所で検認という手続きを経ないと、各種の相続手続きをすることが事実上できません。また、検認手続を怠ったり、検認を経ないで遺言を執行したり、封のしてある遺言を家庭裁判所外において開封をした者は、五万円以下の過料(罰金の様なもの)が課せられると民法に規定されています。
ここでは、検認手続についてみていきましょう。
検認手続についてよくある質問
- 検認手続って何?
- どんな遺言書であれば検認手続が必要なの?
- 誰が、どこに、申立てをするの?
- 検認手続をすれば、遺言の執行を出来るの?
- 封のしてある遺言書は、相続人全員の同意があれば、検認手続前に開封してもよい?
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1) 必要書類(戸除籍謄本など)を集める
主な必要書類は以下のとおりです。
・相続人を確定させる戸籍一式
・被相続人の住民票の除票もしくは戸籍の附票
・遺言書の写し※相続人全員の住所の情報も必要です。住所がわからない相続人がいる場合は、その方の住民票を取得するなどして住所を調べる必要があります。
※必要書類については、申立て前に管轄の家庭裁判所に必ずご確認ください。
相続人を確定させる戸籍についてはこちら -
3) 管轄の家庭裁判所へ申立てる
・申立て先は、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所です。
・遺言書(封書の場合は封書)1通につき収入印紙800円分が必要です。
・そのほか、家庭裁判所が、手続きを行う際に使用する郵便切手を納めなくてはいけません。必要な郵便切手の種類・数は、各家庭裁判所で異なりますので事前に確認をします。
・申立書に添付する戸籍等の還付を希望される場合は、戸籍等の原本と一緒にコピーも提出し、還付希望である旨を記載します。 -
4) 検認手続
申立後、裁判所は、申立人の都合を確認して検認期日を決定します。
決定した検認期日は裁判所から全相続人へ通知されます。
申立人以外は、検認期日に出席するかは任意ですが、申立人は、必ず、遺言書の原本と印鑑を持参して出席をする必要があります。
なお、検認期日は土日祝は行われていません。 -
5) 検認済証明書の申請
遺言の執行をする場合には、検認済証明書が付いていることが必要なので、遺言書の検認手続が終わったときに、検認済証明書の申請をします。
遺言書1通につき150円分の収入印紙と印鑑が必要です。
検認手続とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせ、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言書の有効・無効を争いたいという方は、検認手続とは別に「遺言書無効の訴え」等の訴訟の提起を検討する必要があります。
「公正証書による遺言」以外の遺言については検認手続が必要です。
自筆証書遺言は検認手続が必要になります。
検認手続では、遺言書の原本を裁判所へ持参する必要があります。
そのため、検認手続を申立ることができるのは遺言書を裁判所へ持参できる人です。
法律では、第一に遺言の保管者、保管者がいない場合は遺言書の発見者が検認手続をすると規定されています。(民法1004条1項)。
申立先や必要書類などの具体的な申立ての方法、申立後の流れについてはこちらをご参考下さい。
検認手続をしても、その内容で遺言の執行が出来るのかどうかは、執行先(土地や建物であれば法務局、預金であれば銀行など)によります。
また、遺言書で遺言執行者の指定をしていない場合、手続きには全相続人の協力が必要になります。協力してくれない相続人がいる場合は、遺言執行者の申立てを行う必要があります。
遺言執行者についてはこちら
封印のある遺言書は、家庭裁判所で開封しなくてはいけません。
つまり、相続人全員の同意があっても検認手続を経ずに封を開けてません。
なお、検認を受けずに開封してもそのことを理由に遺言が無効になるわけではありませんが、5万円以下の過料の対象になる可能性があります。
遺言書の検認の流れ
まずはお気軽にご相談ください
当事務所では遺言の検認手続のサポートを行っていますのでお気軽にお問い合わせください。
なお、遺言書に遺言執行者の指定の無い場合、遺言の執行には相続人全員の協力必要です。
相続手続きに協力してくれない相続人がいる場合は、別途遺言執行者の申立てが必要になります。
遺言執行者申立て、その後の相続手続き等のサポートも行っていますので、ご安心下さい。