遺言書には遺言執行者の指定がされている方が良いと言われています。
ここでは、その遺言執行者についてみていきましょう。
遺言執行者についてよくある質問
- 遺言執行者の指定をしていた方が良いと言われているのはなぜ?
- 財産を相続する人も遺言執行者になれる?
- 遺言執行者を複数人指定することは出来る?
- 遺言で遺言執行者を指定する際に注意する点は何かありますか?
- 遺言執行者が遺言者よりも先に死亡した場合はどうなる?
- 遺産の内容を知りたいのですが遺言執行者は教えてくれますか?
- 遺言執行者が遺言の執行をしてくれないときはどうすればよい?
- 遺言書に、遺言執行者の報酬を定めることはできるの?
遺言執行者が指定されている場合、遺言執行者は凍結した預金口座の解約等を単独で行う権限があり、遺言執行手続がスムーズにでき、相続人や受遺者の負担が軽減されます。
遺言執行者が指定されていない場合、遺言の執行は、相続人全員でする必要があります。
具体的には、相続人全員の実印押印+印鑑証明書が必要になります。遺言の内容に不満をもっている相続人が、実印押印+印鑑証明書の提出を拒むとそのままでは遺言の執行が出来ません。
家庭裁判所に遺言執行者選任の申立てをする等の対応が必要になり、手続きが面倒になるため、遺言執行者の指定はしていた方が良いと言われています。
なれます。全ての財産をAが相続するという内容で、Aを遺言執行者に指定することも可能です。ただし、遺言執行者は未成年者及び破産者はなれないので、Aは成人しており、かつ、破産者でないことが必要です。なお、この未成年又は破産者に該当するかどうかは、遺言書作成時ではなく、あくまで遺言者の死亡時(遺言の効力発生時)となります。
複数名の遺言執行者の指定も可能です。
なお、遺言執行者を複数指定した場合、遺言執行は遺言執行者の過半数で決することになりますが、遺言に別段の定めを定めておくことも可能です。
例えば、相続人Aへの相続手続きの遺言執行者はA,相続人Bへの相続手続きの遺言執行者はBという指定も可能です。
遺言執行者は、「やむを得ない事由がなければ、第三者にその任務を行わせることができない」と法律で規定されています。
ただし、遺言書に「やむを得ない事由がなくても、第三者にその任務をおこわせてることができる」と記載しておけば、遺言執行者が、高齢であったり、忙しかったり、何らかの理由で遺言執行が出来ないときも、第三者に任せることが出来ます。
そのため、遺言書で遺言執行者を指定するときは、「第三者へ委任をしてもよい」旨の記載はした方が良いでしょう。
なお、現実には、「第三者へ委任してもよい」旨の記載がなくても、第三者が手続きを行える金融機関、執行者本人でないと手続きが行えない金融機関、双方が存在します。
遺言執行者が遺言者より先に死亡しても、遺言書の他の条項に影響はありませんが、遺言執行者が指定されていないことになります。
対策としては以下が考えられます。
① これから遺言書を作成する場合
遺言書に「遺言者よりも先に遺言執行者Aが死亡した場合は、Bを遺言執行者に指定する」などの記載をしておく。
② 既に遺言書を作成しているが、相続は発生していない場合
新たに「遺言執行者を指定するだけの遺言書」を作成する。
③ 既に相続が発生している場合
相続人などの利害関係人が家庭裁判所に申し立てて遺言執行者を選任する。
最も、手間がかからないのは①ですので、遺言書を作成するときは考慮すべきでしょう。
民法では「遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。」と規定されており、これを根拠に遺言執行者に相続財産の目録の交付を求めることが出来ます。
但し、遺言執行者の作成すべき相続財産の目録は、遺言書に記載されている範囲の相続財産で足りるので、遺言書に記載されていない遺産の内容についてはご自身で調べる必要があります。なお、相続人は他の相続人の協力がなくても相続財産を調べる権限があります。
遺言執行者は、遺言で指定されていたとしても、正当な事由があるときは家庭裁判所の許可を得れば辞任することが出来ます。まずは、遺言執行者に遺言を執行する意思があるかを確認するべきでしょう。
遺言の執行をする意思があると回答があったのにも関わらず、その任務を怠るその他正当な事由があるときは、家庭裁判所に解任を請求し、新たに遺言執行者選任の申立てをするなどの対応が考えられます。
できます。遺言執行者の報酬は、遺言書に定める、家庭裁判所の審判で決めてもらう、遺言執行者と相続人間の話し合いで決めるなどの方法があります。遺言執行者と相続人の間でトラブルにならないよう、事前に遺言書に定めておく方が良いでしょう。専門家が遺言執行者に指定される場合は、事前に遺言書に報酬に関しての記載をしておくのが一般的です。
なお、遺言執行者が無報酬で良いと望めば無報酬でも結構です。