原則、相続手続きには相続人全員の協力が必要です。そのため、相続人のうちの1人が行方不明の場合、相続手続きが進められないことになります。そのような時は、家庭裁判所に行方不明の相続人の財産管理人を選任してもらい、選任された財産管理人が行方不明の相続人にかわって相続手続きを進めることになります。この、財産管理人の事を不在者財産管理人といいます。

相続人が行方不明となり、生死が不明で7年以上(戦争や遭難などの危難により生死不明である場合は1年以上)が経過している場合は、その行方不明の相続人を死亡したものとして相続の手続きを進めることも出来ます。この手続きを失踪宣告といい、家庭裁判所に申し立てることになります。

失踪宣告についてはこちら

不在者財産管理人の申立てについて

申立人(申立てができる方)
利害関係人(相続人、不在者の配偶者、不動産の共有者、債権者など)、検察官
申立先
不在者の従来の住所地又は居所地の家庭裁判所
申立てに必要な費用
収入印紙800円分

※その他、家庭裁判所が手続きを行う際に使用する郵便切手を納めなくてはいけません。必要な郵便切手の種類・数は、各家庭裁判所で異なるので事前確認が必要です。

※予納金として数十万円~100万円程必要になる場合があります。

申立てに必要な書類
  • 不在者の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 不在者の戸籍附票
  • 財産管理人候補者の住民票又は戸籍附票
  • 不在の事実を証する資料
  • 不在者の財産に関する資料(不動産登記事項証明書,預貯金及び有価証券の残高が分かる書類(通帳写し,残高証明書等)等)
  • 利害関係人からの申立ての場合,利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書),賃貸借契約書写し,金銭消費貸借契約書写し等)

※その他、各家庭裁判所によって必要書類が異なる場合がありますので事前確認が必要です。

不在者財産管理人についてよくある質問

不在者管理人が参加する遺産分割協議はどのようなものでしょうか?

不在者管理人は、不在者の財産を管理することが職務です。そのため不在者の相続分という財産を確保するため、不在者が法定相続分以上の財産を取得する内容で遺産分割協議をするのが一般的です。

なお、他の相続人に資力がある、不在者の相続分相当額がさほど高額でない場合などの条件が揃えば、他の相続人が不在者の取得すべき財産を預かり、不在者が現れたときに返済するという内容の遺産分割協議をし、不在者管理人の職務を終了させることもあります。これを「帰来時弁済型の遺産分割」と言います。

不在者財産管理人申立てから選任の審判までどのくらいの期間がかかるの?

審理は裁判所の裁量ですので、個別の案件によって異なりますが、おおむね1~2ケ月程度とお考えください。

不在者財産管理人へ報酬の支払はされますか?

不在者財産管理人が報酬付与の申立をすることにより、相続財産から支払われます。
なお、申立人が納める予納金は、不在者の財産が少なくて報酬が支払えないと見込まれるときに、不在者財産産管理人の報酬に充てるためのものです。

不在者財産管理人の仕事はどのようなときに終了しますか?

不在者財産管理人は、以下の事由の発生により、その職務が終了します。
① 不在者の出現(本人へ財産を承継します)
② 不在者について死亡が確認された時(不在者の相続人へ財産を承継します。)
③ 不在者について失踪宣告の審判が確定した時(不在者の相続人へ財産を承継します。)

不在者財産管理人の選任申立ての流れ

  1. 2) 家庭裁判所による調査・照会


    家庭裁判所は、不在者の犯罪歴の確認、運転免許証の更新の有無などで不在者の所在を調査・照会します。
    在監されていたり、免許証の更新などによって不在者の所在が明らかになることもあり、このような場合には、「不在者」とはいえないため申立を取り下げます。

    在監者の相続人がいた場合は?

  2. 3) 不在者財産管理人選任の審判


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